blog 迷子のままに:

山下耕平(やました・こうへい)
NPO法人フォロ事務局長、不登校新聞社理事など。

不登校、ひきこもりなどを中心に、書いてます。
一部は「なるにわブログ」から引き継いでます。

   

いま、渦中にある人に、その「音」はどう響いているのだろうか……。

どうにも、もやっとする。言葉にして整理しきれないのだが、もやっとしたものを、もやっとしたまま、書き留めておきたい。

夏休み明けに突出して子どもの自殺が多いということが、2年前に内閣府から発表されて、大きな話題となった。以来、昨年、今年と、この時期はマスコミが大きく、この話題を取り上げている。

でも、どうにも、それは上滑りしているように感じられてならない。自分自身に引き寄せて考えたとき、こういう気配は、渦中のときには、とても空々しく感じられたからかもしれない。

語られていることを、むやみに批判したいわけではない。いろいろ発せられているメッセージのひとつひとつには、大事なことも語られているように思う。フリースクールなどが、できる範囲で取り組みを広げていることも、大事なことだと思う。第一、夏休み明けのキャンペーンのようなことは、私の関わっているフリースクール・フォロでは、おそらく、ほかの団体よりも早くに始めている。また、マスコミ報道のきっかけをつくったのは、私も関わる不登校新聞だ。

でも、どうにも、もやっとするのだ。

以前にも、どこかに書いたことがあるが、私が中学1年のとき、ひとつ年上の鹿川裕史くんが「このままじゃ生きジゴクになっちゃうよ」という遺書をのこして自殺した。マスコミは大騒ぎしていた。いじめ自殺が大きくクローズアップされた最初の事件だった。でも、そのとき私は、「なぜ騒ぐのだろう、自殺くらいするじゃないか」と思っていたように記憶している。そのころ、「逃げていい」という言葉を耳にしても、リアリティのない言葉にしか聞こえなかっただろうと思う。そういう声が大きくなるほど、自分のリアリティからは離れていったのではないか。そんなふうに思える。詳細は省くが、私もそれなりに苦しい状況を生きていた。

そういう経験が言葉になっていくのは、ずっと後になってからのことだった。不条理な経験に遭ったとき、人がそれを言葉にできるには、相応の時間がいる。たぶん、当時の私が何より欲していたのは、そっとしておいてくれることだったのではないかと思う。必要なのは、そういう場だったり、そういう時間なのではないか。

2年前、この問題が大きく騒がれたとき、懸念したことのひとつは、かえって自殺をあおってしまうのではないかということだった。数字ばかりで物事をみるのはよくないと思っているが、参考までに、この10年の子ども(19歳以下)の自殺者数の推移を示しておきたい(警察庁発表)。
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
548 611 565 552 622 587 547 538 554 520

2015年は、前年に比べて16人増えている。それが報道の影響かどうかはわからないが、少なくとも、この2年、子どもの自殺は減ってはいない。

たぶん、私は、あまりに騒がれすぎている、その「音」の大きさに、もやっとしている。いま、渦中にある人に、その「音」はどう響いているのだろうか……。

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なんとなくわかるような…

  • by 松木由紀子
  • 2017/09/01(Fri)04:39
  • Edit
Facebookで投稿を発見すると、興味深く読ませて頂いてますが、今回も、なるほどって思いました。私自身、そこまで、追いこまれた経験はないので苦しい思いは、きっと理解できていません。中一の長男が完全不登校2年目で、シューレから始まり、色々と勉強中です。本人は、好きなことに没頭して、家にいます。
無理に学校にいかないで大丈夫のメッセージ、私もシェアしてましたが、ふと、これを見て、当事者はどうなんだろうって思うことがありました。まさに、山下さんの言う通りなんだと思います。
ついこの前、PTAでのある会議でも、冒頭のあいさつで、報道にもあるように夏休み明け、自殺が増えるのでパトロールが強化されます、皆様にもご協力を、みたいなことを会長さんがお話になったとき、とても嫌な気分になりました。それは、単なる業務連絡のように聞こえたからです。自殺をとめることが目的ではなく、当事者は、もっと深いレベルでの理解を求めているのに、何だかなぁって思ってました。シェアさせて下さい。

No Title

  • by 山下耕平
  • 2017/09/01(Fri)06:46
  • Edit
松本由紀子 さま

ありがとうございます。
私も、自分の経験と感覚からしかわからないので、えらそうなことは言えません。でも、わからないという、わきまえのようなものは大事なように思います。

深いレベルの理解は、きっと、言葉以前のものでもあるのでしょうね。言葉が多すぎて、がさつに感じたのかもしれないと思いました。

シェアは歓迎です。

また、よかったら、ご感想などいただけると、ありがたいです。

無題

  • by 松木由紀子
  • 2017/09/03(Sun)22:48
  • Edit
がさつになんて、全く感じません。とても、丁寧に渦中にある人に共感しようとしているからこその投稿なんだと感じています。
今回のようなメッセージで救われる人もいると思いますが、それだけでは、全然足りないというか、子どもの自殺問題について、もっと真剣に理解し、大人が救ってアゲナイトイケ

無題

  • by 松木由紀子
  • 2017/09/03(Sun)23:53
  • Edit
すみません、途中で送信押してしまいました。
大人が救ってあげないといけないと感じます。そのために、理解しようとする、知ろうとする大人を増やすためのメッセージが送られてもいいのかなと思いました。
実は昨日、モモの部屋に行って、内田さんと不登校当事者の親数人と話をしてきました。
内田さんは
「夏休み明けに向けて、たくさんメッセージがだされていますが、夏休み明けだけでなく秋に自殺が多い。2学期期末試験前後、教育圧力がかかる、テスト前で部活がなくなりストレス満タンの子がいじめにむかう。このことを頭に入れておくと、最悪なことは避けられるかもしれない。そして、命を絶つのは学校に行き続けた子なんです。」って仰ってました。
こういう背景もあること、たくさんに知ってもらうことも大事だよなって感じました。
論点がズレてきたかもしれません。また図々しくコメントをしてしまいました。失礼な文面があったりしたらお許し下さい。山下さんの投稿をまた楽しみにしています。

松木由紀子さま

  • by 山下耕平
  • 2017/09/04(Mon)07:50
  • Edit
こちらこそ、言葉足らずでした。
「がさつに感じた」というのは、私の記事を松木さんが「がさつに感じた」と言いたかったのではなく、私が、キャンペーンで語られる言葉を「がさつに感じた」ということでした。

松木さん始め、いろいろ、ご意見をいただいたおかげで、少し整理がつきまして、つづきも書きました。よかったら、お読みください。

また、遠慮なくご意見など、いただけると、ありがたいです。
あと、最初の返信のとき、お名前を「松本」とまちがえてました。ご容赦を。

無題

  • by 松木由紀子
  • 2017/09/04(Mon)13:13
  • Edit
大変失礼いたしました。そういうことだったんですね。ご丁寧にコメントありがとうございます。
松本は、気がつかないでいました。よくあることで、全く気にしません。

プロフィール

HN:
山下耕平
性別:
男性
自己紹介:
埼玉県生まれ。大学を中退後、フリースクール「東京シューレ」スタッフを経て、1998年、『不登校新聞』創刊時から、2006年6月までの8年間、編集長を務めた。また、2001年10月、フリースクール「フォロ」設立時より、同事務局長を務める。2006年10月より、若者の居場所「コムニタス・フォロ」を立ち上げ、コーディネーターをしている(現在は「なるにわ」と名称変更)。2009年2月、『迷子の時代を生き抜くために』を上梓。

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