blog 迷子のままに:

山下耕平(やました・こうへい)
NPO法人フォロ事務局長、不登校新聞社理事など。

不登校、ひきこもりなどを中心に、書いてます。
一部は「なるにわブログ」から引き継いでます。

   

院内集会に参加してきましたが……

多様な教育機会確保法の院内集会に参加してきた。

率直に感想を述べれば、最初から「制定を目指す」と銘打たれてはいたものの、議事進行については、あんまりじゃないかと思った。議員が参加している集会中は、フロアからの発言はいっさい許されておらず、にもかかわらず主催者の用意していた「要請文」は全会一致で採択とされて、「議員のみなさん、よろしくお願いします」と締めくくられた。しかし、私が直接知るだけでも、懸念を持っているがゆえに参加している人も多くいた。
 
フリースクール側の発言としては、教育バウチャーへの懸念があること、個別学習計画の運用に懸念があることなどは、わずかに指摘されたものの(それでも指摘があったことは評価したいが)、全体としては賛成意見一辺倒で、早期に法案を可決して、懸念については運用面でクリアしたいという方向のみで話が進んだ。
   
国会議員からは、河村建夫会長のあいさつ、馳浩議員からの座長試案の説明のほかは、「みなさん、いっしょにがんばりましょう」というコメントが大半だった。

一方、事前に発言をしたいと申し入れていた人には、議員が退出したあと、文科省の職員が話を聴くということで、発言時間があった(また、数人はフロアからの発言時間もあった)。

私も、発言時間をいただいたので、大阪で緊急集会を開き、懸念の声も非常に大きかったことから、懸念についてアピールを出したことを簡単に報告し、その要点について、文科省への質問を含めて、おおむね下記の発言をした。

……………………………………………………………………………………………………

・今法案は、フリースクールと夜間中学校が前面に出ているが、塾産業などは想定されていないのか。

・義務教育民営化については、海外での先例の検証などを、省内でされているのか。

・法案は学習の場の選択権を保護者にゆだねているが、保護者と子どものニーズが一致していない場合をどう考えているのか。

・学校教育に対して自律性を持ったものが広がるのであればよいが、結果として、より成果主義的なまなざしが家庭に入っていくのであれば、ここに集まっている人の思いとは逆の結果を招いてしまう。

・そのほか、懸念はいろいろある。なぜ、そんなに焦っているのか。今国会への提出というが、拙速はやめてほしい。充分に論議を尽くしてほしい。

……………………………………………………………………………………………………

質問に対する文科省の担当官、亀田徹氏からの回答は、「議員立法なので文科省から回答できることにはかぎりがある」とのことで、実質的な回答はほとんど何もなく、「運用面で懸念をクリアしていきたい、懸念も含めていっしょに考えていきたい」という内容だった。

そうであれば、議員のいる場で懸念などの声も採りあげるべきではなかったか。時間にかぎりがあったとはいえ、まったく、議員との実質討議がなかったことについては残念というほかない。

終了後、いろんな人に声をかけていただいて意見交換したが、推進の立場にある人は、一様に「法案を通すチャンスは今しかない。懸念はわかるが運用面で考えたい」とおっしゃっていた。懸念の内容について聴いても、そこへの応答はほとんど聴かれなかった。しかし、運用面で考えられることと、法案として考えなければならないことは別だ。

第一、今回の院内集会においては、条文すら発表されていない。法制局が条文案を出してくるのは今月末になる見込みだという。それを、延期されるとはいえ、今国会中に成立させるというのだから、拙速というほかない。フリースクール関係者は座長試案のみを見て、あとは「議員のみなさん、よろしくお願いします」というのでは、あんまりだ。

法案作成段階において、懸念についても、きちんとした検証を踏まえて、論議を尽くす必要がある。

(山下耕平)

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プロフィール

HN:
山下耕平
性別:
男性
自己紹介:
1973年、埼玉県生まれ。大学を中退後、フリースクール「東京シューレ」スタッフを経て、『不登校新聞』創刊時(1998年)から8年間、編集長を務めた。2001年、フリースクール「フォロ」設立時より、同事務局長を務める。2006年より、同法人で18歳以上の人の居場所を始め、コーディネーターをしている(なるにわ)。2012年より関西学院大学で非常勤講師。著書に『迷子の時代を生き抜くために』(北大路書房2009)。野田彩花さんとの共著に『名前のない生きづらさ』(子どもの風出版会2017)。

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