blog 迷子のままに:

山下耕平(やました・こうへい)
NPO法人フォロ事務局長、不登校新聞社理事など。

不登校、ひきこもりなどを中心に、書いてます。
一部は「なるにわブログ」から引き継いでます。

   

脱原発と脱学校-3

 原子力は特異なエネルギーだ。ほかのエネルギーは、すべて化学反応から得るのに、原子力は原子を崩壊させて、莫大なエネルギーを放出させる。それは生態圏にはないはずのもので、だから核兵器は、ほかの兵器とはまったくちがった破壊力を持つ。地震や津波がいかに破壊的でも、生態圏は破壊されない。放っておけば、そこに生き物は復活する。ところが放射能汚染は、生態圏を破壊してしまう。生態圏の自浄作用は通用しない。
 
宗教学者の中沢新一は原子力を「一神教的」だと断じている(『すばる』6、7月号「日本の大転換」)。一神教の神は絶対抽象で、多神教の神のように、山の神とか海の神とか、自然に媒介されることがない。生態圏の外部にあって、生態圏を支配している。そして、その思考が資本主義を生み出し、資本主義の膨張は、やはり生態圏を破壊し始めている。資本主義はまた、人と人がおたがいさまで結びついてきた「社会」をもズタズタにしてきた。人も自然もお金の価値のみではかられ、市場価値のみが唯一絶対の価値になっている。
 
しかも、その生態圏を超えた資本主義の活動にエネルギーを提供してきたのが原子力だったというわけだ。石油も石炭も天然ガスも、生態圏が膨大な時間をかけて生成したもので、これを使い果たしてしまったら、資本主義の活動も止まってしまう。しかし、原子力は核燃料サイクルをうまくまわせば、無限にエネルギーを生み出せる。
 
そうやって、生態圏の摂理を無視して暴走してきた資本主義は、そもそも危機にあったのだ。原発事故は、それを誰の目にもあきらかにした。だから、文明の大転換をはからなければならない。そこにしか、希望はない。それが中沢新一の主張だ。
 
私を含め、多くの人がショックを受けているのも、おそらく、そのあたりにあるのではないだろうか。事故そのものが問題なのはもちろんだが、事故があきらかにしたのは、いまの社会のあり方が破綻したということなのだ。脱原発ということは、たんに代替エネルギーを考えるということではなく、原発に依存してきた、依存するしかなかった文明のあり方を問い直すということにほかならない。

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プロフィール

HN:
山下耕平
性別:
男性
自己紹介:
埼玉県生まれ。大学を中退後、フリースクール「東京シューレ」スタッフを経て、1998年、『不登校新聞』創刊時から、2006年6月までの8年間、編集長を務めた。また、2001年10月、フリースクール「フォロ」設立時より、同事務局長を務める。2006年10月より、若者の居場所「コムニタス・フォロ」を立ち上げ、コーディネーターをしている(現在は「なるにわ」と名称変更)。2009年2月、『迷子の時代を生き抜くために』を上梓。

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